FC2ブログ

Happyending

Happyending

何が起こったの・・・?


『俺はお前を抱く権利があるし、
 お前はそれに応える義務がある。』

私の手首を掴んだ道明寺さんはとても怖い顔をしていた。
ワインを開けて食事を取っていた時は、口数は少なかったけど優しそうに見えたのに。

急に、どうして?


足元がふらついて、ソファーに倒れこんだ。
道明寺さんが私に覆いかぶさる形で私の脇に手をついた。

彼の顔が近い。
あんなに間近で見たのは初めてだった。
怒っているような、でもどうしてか.....悲しそうな。
私、何か悪いことをしたのかな?

ほろ酔いの頭でいくら考えても、答えは思い浮かばなかった。
けど、私は酔いつぶれていた訳じゃない。
だから、彼を押し返そうと思えばできたはずなのに、そうはしなかった。



愛されてもいないのに体を預けてしまうなんて、冷静になれば考えられないことだ。
でも、あの時はそれでもいいって思ったの。

彼は夫婦の権利や義務と言ったけど、そう言った彼の表情は固かった。
考えてみれば、女性除けのための契約結婚なのだから、女性嫌いの彼が私を抱く必要なんてないはずだ。

でも、

.........もしかしたら、私自身を欲しいと思ってくれてる?


そんなことある訳ないって頭の端っこでは分かっているのに、あの時の彼の瞳はそう言っているように見えた。
それに、彼を愛することは許されないのだとしても、家族として彼を愛することはできるはずだ。
彼の妻として、彼の全てを受け入れるのは私しかいない。
そう思えば喜びもあった。

だから、私は.....

自然と瞳を閉じていた。
あれは、私の本能だったのかも知れない。


初めてのキスはとても優しいキスだった。
権利や義務だとは思えない、労わりを感じるキス。
彼の指が絡められた右手をぎゅっと握ると、同じようにぎゅっと握り返されて幸せを感じた。




ソファーの下からは、まだ携帯の着信音が響いていた。

類にちゃんと返事をしなきゃ。
私、フランスには行かない。
道明寺さんと結婚するの。
家族の安全を保障してくれるからじゃない。
初めて、私自身が傍にいたいと思った人なの。

ああ.....そうか。
憧れだけじゃない。
私はずっと道明寺さんに恋をしてたんだ。
たぶん......私の初恋。
だからなのかな。
今、この状況も全然怖くないの。
好きになってもらえなくてもいい。
家族としてでもいいの。
この人の傍にいたい...。

ごめんね、類。
いつも私の味方でいてくれるあなたに、ちゃんと説明もしていない。
こんなの、友達失格だ。
“バカ、よく考えろ”って、きっと類なら言うよね。
頭では分かってるの、こんなの間違ってるって。
だけど、私の心が求めてるの。
そこに愛が無くても、彼を受け入れたい。



着信音が鳴り響く中、何度も唇が合わさった。
少し離されたと思ったら、角度を変えてもう一度。
上唇を吸われたり、下唇を舐められたり、小鳥のように小さなキスかと思ったら、息苦しいぐらいに塞がれたり......

途中から携帯の音は聞こえなくなっていた。
私がキスに夢中になっていたからなのか、本当に着信が切れたのかはもう分からなかった。




いつしか.....
そっと彼の唇が離れ、私は彼を見上げていた。

先ほどとは違う、優しい瞳だと思った。
私の頬に添えられた大きな手が心地良かった。


「悪かった。」

「どうして.....謝るの?」

謝られて、私は少し寂しかった。
キスだけで、私の体の芯は熱くなっていたから。
謝るようなことをしたの?
一瞬でも、私を求めてくれたんだと思ったのに。


「纏わりついてくる女に興味はないが、自分の妻を抱かないとは言えない。だが、性急すぎるだろ。」

彼がふっと視線を外し、苦し気に横を向いた。

そんなことない。
びっくりしたけど、私、嬉しかったんだよ。
男の人は、愛が無くても女性を抱けるんだって知ってる。
欲望を満たす行為が必要だってことも。
だから道明寺さんが、私のことを好きじゃなくても抱けるってことも分かっているつもり。
それは自分の経験じゃなく、周りのみんなから聞く知識としてだったけど。
だから大丈夫。


ただ・・・


「道明寺さん」

名前を呼ぶと、彼がもう一度私を見てくれた。
その態度に勇気を得て、私は思い切って自分の想いを吐き出した。


「私だけだって、約束してくれますか?」

彼の目が大きく開いた。
こんな風に驚く顔を見たのは、この時が初めてだったかも。


「結婚したら、あなたが抱く女性は私だけだって約束してもらえますか?」

私だけであって欲しい。
そうじゃなければ、それはあまりに悲しい。
だから、約束して欲しかったの。

その約束さえあれば、私は・・・



彼が私の頬を撫でた。

私の視線をしっかりと受け止めて、

「約束する。俺が抱く女は生涯お前だけだ。」

そう言ってくれた。


その返事を聞いて、私はもしかしたら微笑んだのかも知れない。
だって、本当に嬉しかったもの。



私が笑ったからなのか、すぐに彼に唇を塞がれた。
今度はさっきよりも荒々しくて、息も吐けないほどの激しいキス。


それは、私たちのハジメテの夜が始まった合図だった。




にほんブログ村

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
Happyending  
こんばんは!

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
先度0時に予約投稿しました。あと10分(笑)。
今週末は時間が無くて...とてもRなんて書けないぞ~と思って焦って書いたら、あら?ちょっといつもと違うRに仕上がったような?(;・∀・)
今回は特殊な状況の二人なので...(;^_^A

さて、
二次●様
ふふっ(*^^*) 愛に目覚めた大人の司ww そう、大人の司なので、いつもと雰囲気が違うかな?そこを楽しんでいただきたいな~(*^^*) つくしちゃんには、このセリフを言わせたかったんです。だって、つくしちゃんはタダで体を売るような女性じゃないですからね~(*^^*) 司はね...大人だけどちょっと妄想が暴走した感あり...(;^_^A 楽しんでいただけたらいいなぁ。

スリ●様
目は口ほどのものをいう・・そうですね!まさにそう。司が真剣だってことは伝わっているはずです。でも、鈍感なつくしちゃんは、自分を好きだとは思っていないだろうなぁ。そう言う意味では、司も鈍感ですよねww 類君目線、いつか書けるかな?あんまり深くは考えていないのですが...(;^_^A まずは、この過去編をはやく終わりにせねば...です('◇')ゞ

花●様
良く言った!でしょ( *´艸`)ププッ。つくしちゃんにとって覚悟の一言ですが、司をガンガンに煽っちゃってますww つくしちゃんの気持ちもわかるなぁ。自分だけって言ってもらえたら、例え契約でも、嬉しかったと思うんです。はて?でもなんで私はこんなお話を書いてるんでしょうね(笑)。


さてさて、続き、いつもと感じの違うRかもですが、
楽しんでいただけますように(*´▽`*)

2019/11/16 (Sat) 00:03 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/15 (Fri) 08:37 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/15 (Fri) 05:56 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/15 (Fri) 00:15 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply