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Happyending

Happyending

「それで、今は道明寺さんと暮らしてるってことなのっ!?」
「.........うん。」


信じられない・・・

私の大親友、牧野つくし。
彼女から急に結婚することになったと連絡があったのは約3週間前。
28にもなって恋人どころか付き合った人もない奥手のつくしが、いきなり結婚なんて、絶対に何かある。それに詳しいことは電話じゃ説明できないって何よ。
今度ゆっくり話すからって言われて、やっと会えた今日、つくしから聞いた話は私の想像を遥かに超えていた。

「契約って.....それで幸せって.....どうして......」

恋愛経験のないつくし。
彼女は家族の安全を守るために、道明寺さんは女除けのために、互いのメリットを条件に契約結婚をしたと言うの。でもね、これまでのつくしは、そんなことをするような子じゃないんだよ。正義感が強くて、勉強も仕事も誰よりも真面目に頑張ってて、いつも自分のことより他人のことを考えて損してる。あ、そっか、だから、この結婚も、自分が犠牲になっても幸せだなんていうの?でも、それは違うよ、つくし。

「彼のお母さんから色々アドバイスも頂いてね。道明寺の家のこととか、ボランティア団体の役員とか、今までやったことがない勉強も楽しいし.....」
「そういうことじゃないでしょ?」

少しキツイ言い方になっちゃった。
でも、つくしには本当に幸せになって欲しいんだよ。

「優紀が言いたいこと、分かってる。おかしいよね。こんな結婚間違ってる。でもね、嫌じゃないんだよ。彼の帰りを待っている時間も、彼と一緒にいることも。あのね、大切にされてるって感じてるの。さっきもね、通りで私を見かけたからって、司さん慌てて追いかけて来てくれて、1時間だけデートしたの。初めてのデートでね、ただ歩いて、少し買い物しただけなんだけど、幸せだった。」
「1時間って.....初めてのデートって......あんた......」

ハチャメチャだ。
なのに今日、久しぶりに会ったつくしの表情はとても穏やかで、契約結婚をしただなんて思えなかった。家族を守るための契約結婚だっていうのに、どうしてつくしはこんなに幸せそうなんだろう。
本当の幸せを知らないから、お人好し過ぎるから、つくしは勘違いしているのかも知れない。


「つくし、冷静になって?契約結婚なんだよ?つくし、利用されてるんだよ?」
「私も利用したんだよ。家族と自分を守るために。」
「つくしっ!」
「だって、好きなの。断ることだってできた。でも断りたくなかった。」

ああ.....そうか。
この一言に、私は妙に納得してしまった。


つくしは道明寺さんに恋をしてるんだ。
つくしの初めての恋。もしかしたら初恋?
つくしが英徳大学に進学して、私は必然的にF4という存在を知るようになった。
その中の花沢類さんとつくしは気が合う様だったけど、実はつくしは道明寺さんに憧れていたのも知っていた。道明寺HDの後継者で、NY暮らしだった頃の彼が掲載された雑誌をつくしはよく眺めてた。ただの憧れだと思っていたけど、つくしがこれまで他の男性に見向きもしなかったのは、きっと彼の存在があったからだ。
そんな人に契約とは言え結婚を持ちかけられたら...?
つくしだって女の子だもん、流されちゃっても仕方ない。それを、誰が責められる?

頬をポッと染めてはにかむつくし。
こんなつくし、初めて見た。
可愛いなぁ......。
これが契約結婚じゃなかったら、どんなに良かったか。


ん?..........あれ?
ちょっと待って.........?


つくしは、とても綺麗になった。
今日、待ち合わせの場所に立っていた姿を見た時、すっごく綺麗になったなぁって思ったんだ。
土日もなく仕事をしていた頃に比べたら、各段に肌艶も良くなって、これまでは元気はつらつがトレードマークだった彼女から、女の色気みたいなものを感じた。
満たされてる美しさ、今までのつくしには無かったもの。

でも、これって......?.......え?


「あ、あのさ。道明寺さんって女嫌いなんだよね?」
「うん。」
「女除けのための契約結婚なんだよね?」
「うん、そう。」
「なのに、つくしは道明寺さんと.....その......シてるの?」
「え?何の話?」
「だから、夜、ベッドで........」
「やっ!何っ、いきなり、優紀ってば!!」

首筋まで真っ赤になりながら、否定もせずにアタフタして、その態度ですぐに分かる。
そっか、つくしは道明寺さんと.....

でもでも、待ってよ!

「でもさ、それって、変じゃない?」
「へ、変っ!?」
「だって、女嫌いで女除けのための結婚なのに、どうしてつくしと?」
「それは...ほら、“妻の義務”......でしょ?」
「女嫌いなのに、それを求めるの?」
「だって、男性にはそういう欲求があるって聞くし...」

そりゃあるだろうけど。
でも、やっぱりおかしいよ、言ってることとやってること!

「つくし、やっぱりダメだよ。そんなヤルだけの人なんて。」
「ヤル.....だけ?」
「つくしは嫌じゃないの?性欲のためだけに抱かれるだなんて。ヤッてお終いだなんて酷いよ。つくしは初めてだから分かってないんだよ。それ、普通じゃないよ。」
「......普通じゃない?」
「向こうは出してすっきりかも知れないけど、こっちはそうじゃないでしょ?」
「どっ.....どういうこと?」
「だから、そういうことって時間をかけてもらって、そういう所に愛情を感じるって言うか、幸せがあるっていうか....。」

ああもうっ、私も何言ってるのよ!
でもね、セックスって義務でするものじゃないんだよ。
もっと幸せなものなんだよ。ああ、どうしたら伝わるんだろう。

だけど、焦る私に対して、つくしはとても落ち着いていた。

「ヤルだけ.....じゃないよ。キスも....たくさんしてくれる。いつも、私が痛くならないように時間をかけてくれてる....と思う。その、最中はもういっぱいいっぱいなんだけど......終わった後は、必ずぎゅって抱きしめてくれるんだ。髪の毛にキスしてくれて、朝まで私のことすっぽり抱いててくれて、温かくて気持ちいいの。目が覚めたら“おはよう”って言ってくれて、それが凄く幸せなんだ、私。ねぇ、これって、ダメなのかな。」


びっくり......した。
アルコールが入っているとはいえ、つくしがこんなこと言うなんて。
彼の肩を持っている訳じゃない。本当に幸せそう。
そして、本当に道明寺さんのことが好きなんだ。


だけど・・・やっぱり、ちょっと引っ掛かることがある。


「朝まで、だ、抱き合って?」
「......うん。彼がそうしようって。」

一晩中抱き合って、朝目が覚めたら“おはよう”って?
あれれ?私の想像する酷い男はどこにいったんだろ?

「....ちなみに、毎日じゃないよね?」
「今のところは毎日...かな。私もね、疲れてるんだからっていつも言うんだけど、あんまり聞く耳持ってないっていうか。体力に自信があるみたいでね。」

そう言うことじゃないでしょ!
女嫌いの男が、性欲のために毎日ってある??

「あのさ、実際、どうなの?」
「どうって?」
「道明寺さんとの........つくしは気持ちいい.....の?」
「やーっ!優紀ってば、何言ってんの!」
「ここまで言ったんだから答えて!」

予約したコラーゲン鍋はもうすっからかん。
私はコラーゲン吸収を促進するっていう、お店お勧めの白ワインをぐいっと飲み干して、ガンッと机に置いた。
そんな私に、つくしは困った顔をしながら、

「う......うん。初めは恥ずかしかったんだけど、今はもっとして欲しいぐらい。って、やっぱりおかしいのかな、私。」

ぼそぼそって呟いてる。
その姿は、やっぱり幸せそうで...


何だろう.....何なの?この違和感。

契約結婚なのに、こんなに幸せそうだから?
ううん、そうじゃない。
二人が契約結婚になんて見えないからだ。


もしかして・・・
ねぇ、もしかしたら・・・


「道明寺さんって.........実はつくしのこと好きなのかな?」
「な、何言うのよ、優紀っ!!」
「だって、好きでもない女と毎晩一緒のベッドに入る?契約結婚なんだよ?」
「大切にするって言ってくれたんだ。その約束を守ってくれてるんだよ。」
「大切にするって言われたの?契約結婚なのに?」
「抱くのは私だけにして欲しいってお願いしたの。だから、それだけだよ。」

つくしは疑問に思わないんだろうか?
私は、ますますありえないような気がする。
だって、普通そんな約束する?
安全を保障するという契約を果たしている時点で、それ以上の約束なんて必要ないはずなのに。

まるで、つくしのこと愛してるみたいじゃない。
本物の、新婚ほやほやの夫婦みたいじゃない。


「好きだって言ってみれば?道明寺さんに。」
「ぎゃっ!?大きな声で言わないでよっ!!」
「今までだって十分大きな声だったわよ。」
「あわわ...」
「ねぇ、伝えてみたら?つくしの気持ち。ずっと見てたんだって。だから、この結婚は嬉しかったんだって。」
「止めてよ。そんなの迷惑だよ。」
「どうしてよ。あんたの話を聞いてたら、お似合いの夫婦だよ?例え契約から始まったからって、好きになっちゃいけない訳じゃないでしょ?」
「言えない。司さんは言い寄ってくる女が一番嫌いなの。だから絶対に言えない。」


はぁ.....
こういう時のつくしは頑固だ。
だから何を言っても無駄。

でもね、やっぱり私はさ......


その時、プルルルルって、携帯の着信音が聞こえた。
二人同時に気が付いて、バッグから携帯を取り出した。
私じゃないってことは、つくしの携帯みたい。


あれ?
つくしの目が真ん丸だ。

「どうしたの?誰?」
「えっと....、ど.......どうしようっ!」
「だからどうしたのよ?」

つくしがあんまり狼狽えるから、私は掘りごたつの向かい側に座っているつくしの隣まで移動した。

携帯のディスプレイには『司さん』って映ってる。
なるほど、旦那様からの着信だ。

「何やってんのよ、早く出なさい!」
「だって、初めてなんだもんっ!」
「初めてって何がよ?」
「電話!番号は交換したんだけど、掛かって来たことないんだもん!!どうしよう、何だろう?何かあったのかな?」
「いいから早く出なさいって!」

テンパってるつくしは可愛いけど、埒が明かない。
せっかく掛かって来た電話が切れちゃうじゃないのっ、もう!

私は指を伸ばして、勝手に通話のボタンをぽちっと・・・

「優紀っ!」
「しっ....」

口元に人差し指を当て、そのまま自分の元の席に戻っていく。
そこからは見てないフリ、聞いてないフリ・・・

つくしはギュッと目をつぶってから、携帯を両手で持ち直して、


「もしもし......つ、司さん?どうしたの?」

だって。
つくし、可愛いなぁ。

「あ...うん。まだお店。......うん。」

コラーゲン鍋、美味しかったね。
新婚のつくしのお肌をプルプルにしようと思って予約したお店。
すっごく美味しくて、二人でペロリと食べちゃった。
もうお腹いっぱいだよ。

「えっ、いいよ、いいよ。大丈夫だから!」

何なに?旦那様がお迎えに来ちゃうのかな?
そうだよね。だって、きっと道明寺さんは......

「ええっ!?そんな、風邪引いちゃう!」


つくしが慌てて電話を切って、立ち上がった。

「お迎え、来てるの?」
「ごめん優紀。終わるまで表で待ってるって。ちょっと行って来る。」
「いいよ、今日はお開きにしよ?」
「本当にごめん。久しぶりなのに。」
「新婚さんだもん、そうだよね~。」
「そんなんじゃないってば!」

つくしってば、嬉しそうじゃん。
初めは心配したけど、私はつくしを応援するって決めたよ。
それに心配はいらないみたいだし...




コートを着て、お会計をしようとしたら、『もう頂いています』と言われてつくしを顔を見合わせた。

首を捻りながら、二人で地下にあったお店から通りに出ると、


何か凄いオーラを感じた。
その場にいる人間全員が引き込まれるような......

黒いコートを着て、電信柱に凭れていた人。
その人が、私たちに気付いた。


「司さん、こんなところにいたら風邪引いちゃうよ!」
「今来たところだ。」

圧倒的なオーラに負けることなく、つくしが彼に向かって走っていく。
二人の表情は柔らかくて、やっぱり契約している二人になんて見えない。

道明寺さんが手を伸ばし、「やっぱいいな、これ」って、つくしの帽子をぽんぽんと触った。
「うん、あったかいよ」なんて彼を見上げながら答えるつくしは恋する女子そのもので、慌てて出て来たから少しズレていたその帽子を直してあげている道明寺さんは妻を溺愛する男そのものだ。


なーんだ、やっぱりね。

私は一人、ふふって笑ってた。
そうしたらね、二人が私のところまで歩いて来たよ。


「こちら、松岡優紀さん。小さい頃からの親友なの。」
「松岡です。」
「道明寺です。今日は邪魔をして申し訳ない。」
「いいえ。幸せそうなつくしに会えて嬉しかったです。」

道明寺さんは少し驚いたような顔をしていた。


それから、言い忘れていた言葉に気付いて、
私は二人に向かってシャンと背筋を伸ばした。


「ご結婚、おめでとうございます。」

しっかりと頭を下げた。

「道明寺さん、つくしのことよろしくお願いします。
 つくし、絶対に幸せになってね。」


プレッシャーをかけちゃったかな?
でも、言いたかったんだよ、今。


つくしは相変わらずアワアワして、道明寺さんをチラチラ伺いながらも、「うん」って答えてくれた。


道明寺さんの方を見たら、道明寺さんも私を見ていた。
やっぱり凄い美形。心臓がバクバクバク......
どっ、どうしよう。もしかして、私怒られる?


「ご心配なく。必ず幸せにします。」



そのモデルのような躯体で、その端正な顔立ちで、
素敵な声で、そして真剣な眼差しで、

格好いい......

こんな素敵な人なんだ。
この人は、嘘なんて吐かない。
そっか、だからつくしは幸せそうなんだ、やっと分かった。


「良かったね、つくし。」


良かった。
つくしの好きになった人が道明寺さんで。
道明寺さんの好きな人がつくしで。

だって、二人は本当にお似合いだ。




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オール優紀ちゃん視点になってしまいました(;^_^A
いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
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Comments 8

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こんばんは! ②

小●様
えへへ、楽しんで頂けて良かったです(*^^*) 今回はガールズトークが主だったけど、最後にどうしても司を出したくて...(笑)。やっぱり登場させちゃいました。
インフルエンザ流行ってます。小学校では学級閉鎖のクラスも出てますよ~。お互いに気を付けましょうね!!

二次●様
そうなんですよ。夜(笑)。今回は、今日の午前がゆっくりできるのが分かっていたから夜に頑張っていたのですが、でもやっぱり疲れた頭は回らないですね~(;^_^A 朝のお弁当作りも危うく寝過ごしそうになるし(笑)。ある程度は無理しないと書けないっていうのはあるかなぁ。でも楽しんでるので、大丈夫です!ゆっくりと続けて行こうと思っています。それもジレジレ...ですが、おつきあいよろしくお願いします(*^^*)

花●様
ぷぷっ!!ホントだ、SPさん聞いてたかな!?(笑) そうそう、私も、優紀ちゃんの疑問がもっともだと思って(笑)。それに気づいていないつくしは重症の鈍感娘(笑)。結婚は大なり小なり契約!!(爆笑です..!!)そうかもー。私も相手が司だったら契約結婚バンザーイ!です( *´艸`)


明日も冬空の下、息子の応援です・・・
大きな声じゃ言えないけど...行きたくない...(;^_^A
続き、もう少しお待ちください_(._.)_

2019/12/06 (Fri) 22:39 | EDIT | REPLY |   
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こんばんは! ①

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
朝に投稿したかったのですが、昨日読み返していたらなんとなくお話の雰囲気が好きじゃなくて...。内容はほ同じなんですけど、優紀ちゃんの言い回しとか...。なので今日は午前中に書き直してから投稿しました。私は何度か読み返して、「うーん...」って言う時はその日は諦めて、翌日にもう一度読み返します。そうすると前の日には上手く書けなかったところとか、自分でも「ちがうなぁ...」って思うような登場人物の描写とかが、また違った書き方が出来たりするんです。
今回の優紀ちゃんとつくしの会話は、原作と立場が逆転しているような気がして「うーん...」と悩んじゃったのですが、優紀ちゃんって結構強いし、こんなのもアリかな~と最終的には納得してアップしています。

さてさて、
あか●様
そうそうにご指摘ありがとうございました。午後から仕事に出てしまって、気づくのが少し遅れて、気づいた時にスマホから直しました(;^_^A ほんとジレジレですね・・・。そろそろ動きだしましょうか?(笑)

スリ●様
電車からコメントありがとうございます!!そう、気づいてないのはつかつくだけなんです(笑)。どちらから仕掛けましょうか?ここはやっぱり司かなぁ( *´艸`) 次の展開をすっごく悩んでます(笑)。

2019/12/06 (Fri) 22:28 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 19:14 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 18:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 17:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 13:07 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 12:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/06 (Fri) 12:40 | EDIT | REPLY |   

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