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Happyending

Happyending

あれから・・・
私が乗せてもらっていた車で優紀を送ってもらい、私たちは司さんのリムジンに乗り込んだ。

広い車内にピッタリと隣同士に座る私たち。
彼から珍しく強いアルコールの香りがしていた。
今日は会食だって言ってたけど......たくさん飲んだのかな?


「ふぅ.....」って吐息と同時に司さんが目を閉じた。
その姿は男の人なのにやっぱり綺麗で、溜息が出そう。
疲れてるのかな?少し、酔ってるみたい。
こんなにアルコールを飲んでいる姿を初めて見た。
会食って、どんな会食だったんだろう.....。


・・・・カタン

...........え?


突然、私の肩に司さんの頭が乗ったの。
こんなこと...初めてだ。


「どうしたの?もしかして、酔ってる?」
「ん......」
「疲れてる?眠い?」
「.........ん」

どうしたんだろ......
なんか.....かわいいっ!!

左の肩に彼の重み。
いつもの香水とアルコールの匂いが混じり合ってる。
いつもとは違う司さん。

彼が目を閉じていて良かった。
だって私、頬が緩んで仕方がない。



「お邸に着いたら起こすから、少し寝て?」
「......ん...............」

・・・ズルッ

ひゃっ!
司さんの体がズルリと滑り落ち、彼の頭が私の.....膝に.....。

うわーっ!!

ふ...夫婦なんだもん、別に驚くようなことじゃない。
ベッドではもっと激しいことしてるんだし......だけど.........

こんな風に甘えた姿の彼は本当に初めてで、
ドキドキが止まらない。


スーッて、寝息?
うそっ、本当に眠っちゃった?

いつもは私の方が先に眠っちゃうから、こんな風に眠り込む彼を見るのも初めて。
今日は初めてのことばかりだ。
デートも、名前も、こうやって甘えてる姿も。

今日の商談はイマイチだったって言ってたなぁ。
夜の会食もあまりうまくいかなかったのかな?
ストレスが溜まってるのかな?

癒してあげたい。
けど、どうしたらいいんだろう?


眠っている彼の髪にそっと触れた。
このクルクルの髪の毛は濡れるとストレートになるんだって知った時は衝撃だったなぁ。
まるで別人だった......プププッ。
それにね、ゴワゴワなのかなって思ったら、すっごく柔らかいの。
雑誌でしか知らなかった彼のことを少しずつ知っていくのが楽しくて嬉しい。

入籍後、すぐに電話を下さった椿さんが言っていた。

『司は子供っぽいところがあるけど、つくしちゃん、呆れないであげてね。あんなでっかい体してるけど、実はとても寂しがり屋なの。だけどその分、つくしちゃんのこと大切にできる優しい奴だから、安心してね。』


怖そうに見えて、本当は優しい人だ。
だけど、子供っぽいとか寂しがり屋とか、そんな風に思ったことは一度も無かった。
一緒に暮らしていても、いつもクールで完璧で。雑誌のイメージ通りの彼がそこにいた。
だけど、本当は違うんだ。
世界的企業の副社長という表の姿と、プライベートの姿はきっと同じじゃない。
今のこの姿が、本当の司さんなのかも知れない。

だったら、私は・・・

彼の柔らかい髪をそっと撫でた。


「ねぇ、もっと甘えてね。
 もっと我儘も言ってね。我慢.....しないで。」


彼にとっても慣れない結婚生活。
好きでもない女との生活だもん。
きっと、すごく私に気を遣ってるんだろうなって思う。
もっと自然な二人になれたらいいな。
男女の愛が無くても、家族の愛がいっぱいになればいい。
彼が甘えてくれたら、彼にお願いをされたら、私はなんだって頑張っちゃうと思う。

何でも持っている彼が望むことって何だろう?
ねぇ、どうして欲しい?
お気に入りのコーヒーを毎日淹れてあげるとか?
お風呂上がりの髪の毛を拭いてあげるとか?
.....いやいや、私はやりたいけど、それはないかぁ。

そうだ・・・クリスマスは何をしよう?
『お前がいるだけででいい』って言ってくれた。
だけど、やっぱり何かしたいよね、うん。
彼が喜びそうなこと、何かないかな?


スースーと規則正しい寝息を聞きながら、
そんなことを考えているとなんだか幸せな気持ちになって、

私も少しだけ......と、目を閉じた。






**



総二郎が言っていた。
彼女が俺を選んだんだ、と。
あの夜、彼女が類を頼れば、きっと類はすぐに手を差し伸べた筈だ。
俺を押しのけてあの電話に出れば、類が何らかの方法で彼女を探し出したに違いないんだ。
けれど、彼女はそうはせず、俺を受け入れた。
それはどういうことなのか?

何度考えても答えが出ねぇ。
彼女は俺のことが好きだとか.....?
はっ、まさか。出会って数カ月だ。結婚するまで2回しか会ってない。
どこで俺を好きになるんだっつーの。
........いや、俺は彼女を好きになったんだから、その可能性もある?
........いやいや、鈍感なこいつに限ってそれはないだろう。


分かんねぇ。
けど、少なくとも、彼女は俺を選んだんだ。
その事実が俺の気持ちを軽くしてくれた。

結婚してからずっと、彼女に嫌われないように、俺なりにいい男を演じてきたつもりだ。
理解のある、思慮深い、大人の男を。
彼女はそんな俺を、嫌ってはいない.....はずだ。





『奥さん、迎えにいくのか?』

メープルのバーで、彼女がいると報告を受けた店を携帯でチェックしていると、それを覗き込んだあきらがそう言った。

『どうすっかな。ダチと会ってるらしいから、うぜぇって思われてもな。』
『ふーん。なんか、お前らしくねぇな。』
『あ?』
『誰に何を遠慮してんのか分かんねぇけど、お前、そーいう男だったか?』
『どういう意味だ?』
『考えすぎてる司はらしくねぇなって話。』

考えすぎてる?この俺が?
けど、それも仕方ねぇ。あいつに嫌われたくねぇから。

『理解ある男を演じるのも大概にしとけよ。お前は元々F4一の我儘男なんだからな。』
『そうそう、牧野にバレるのも時間の問題だ。猫被っててもしょーがねーぞ。』
『だな。おっ、そうだ。俺ら今からそこ行って、ちょっと教えてやるか?司は本来どうしようもねー男だけど、よろしくなって。』
『いいねぇ。それも俺らの義務かもな。しっかし、あいつも司の妻とは、偉い苦労背負い込んだもんだな、また。』


おいっ、俺の妻が苦労するってどーいうことだよっ!!


けど、こいつらの言う通り、確かに、俺は演じ過ぎてる。
それは十分分かってた。
本来の俺はここまで配慮のできる人間じゃねぇ。

彼女を独り占めして、誰にも会わせたくなんてない。
家の中に閉じ込めて、俺だけに笑って欲しい。
ダチだって、うちの邸に呼べば安心なのにって思ってた。

本当は、
もっと彼女の笑顔が見たい。
もっと彼女に触れたい。
もっと我儘を言いたい。
もっと甘えたい。

だだ、どうすればいいのかが分からないだけで・・・


『そういう遠慮が伝わるんじゃねーの?牧野にも。』

あきらが、俺の肩をポンっと叩いた。





あいつらに肩を押され、俺は牧野のいる店の前まで来ていた。
とりあえず、食事代ぐらい払ってもいいだろうと店で会計を済ませた時に、彼女たちの食事はもう終わりそうだ聞いた。

それならやっぱ一緒に帰るか?
いや、もう一軒行くって言われたらどーすんだ。
けど、あいつも遅くはならないって言わなかったか?

『迎えに来た』という一言が言えないもどかしさ。
それは俺たちは愛し合ってる夫婦じゃないからだ。

金も払ったんだ。このまま帰ろうかとも思った。
けどあきらの言った、『遠慮』って言葉が思い出されて、やっぱここで帰るのは俺らしくねぇと漸く自覚した。
それに、彼女がダチに俺のことを何て報告したのかも気になっていた。


思い切って電話を掛けると、彼女はすぐに店から飛び出してきた。
相当慌てていたのか、プレゼントした帽子が斜めになってる。
その姿も可愛くて、俺を見て微笑んでくれたのが嬉しくて、俺もたぶん笑ってたと思う。


松岡優紀は、『幸せそうなつくしに会えて嬉しかった』と、そう言った。

幸せそうな・・・

そっか。彼女はそんな風に話してくれたのか、この契約結婚を。
ほっとした。と同時に、このままじゃダメだと思った。


本当に彼女を幸せにするにはどうしたらいい?

その答えは一つだ。
彼女が俺を好きになればいいんだ。
俺が彼女を絶対に手放せない以上、答えはこれしかない。


結局その答えに至った自分に、俺は笑いたくなった。
やっぱり俺は自己中だ。
でも、これが本来の俺だ。




車に乗りこみ、そんな自分の気持ちを隠すために酔ったフリをするズルイ俺。

彼女は俺が虎視眈々と狙っていることに気づきもしない。
優しく俺の髪を撫で、『可愛い...』なんて呟いてる。
けど、俺の聞きたい言葉はそれじゃない。
俺が聞きたい言葉は・・・


その時、彼女の膝の上で寝たフリをしていた俺の耳に聞こえた言葉。
その言葉に心臓が跳ねた。


「ねぇ、もっと甘えてね。
 もっと我儘も言ってね。我慢.....しないで。」



甘えていいのか?
我儘言っていいのか?
我慢しなくていいのか?

・・・・・・それなら、俺はっ



「つくし......」


____少しずつでいい、俺を好きになってくれ


そう言いたくて、意を決して目を開けた。









「・・・・・・お前が寝てんじゃねーよ。」


彼女がコックリコックリと揺れていた。


やっぱな。
そんな簡単に言えれば苦労はしねぇ。

苦笑いしながらも、俺は最高に気分が良かった。



もう、我慢も遠慮もしない。
もっと攻めていく。


それで、いいんだろ?




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Comments 5

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Happyending  
こんばんは(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
続き、何を書くか迷ってるうちに時間が無くなり...今日も夜中です(;^_^A
続きはなんとか朝5時にセットしましたが・・・プチR(笑)。
かといって、夜まで待つほどのお話でもないので、爽やかに朝投稿しちゃいます(笑)。

今日も纏めてのお返事ですみません!
司にエンジンをかけてみました。でも、29歳だしなぁ。
ここからどんな司にしたらいいか...迷ってます!(笑)。

とりあえずは、5時に(*^^*)
娘がテスト中でお弁当作りがないので気が楽です(^^)v
では、おやすみなさーい。

2019/12/11 (Wed) 01:49 | EDIT | REPLY |   
ふじや寿  
いいんですっ♪いいんですっ♪

それでいいんですっ(*´-`*)♪

2019/12/09 (Mon) 22:16 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/09 (Mon) 17:50 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/09 (Mon) 08:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/09 (Mon) 00:49 | EDIT | REPLY |   

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