花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

執務室の中には、ソファに浅く腰を掛け、姿勢を正して座っている牧野の姿。
ドアが開く音に振り返り、俺たちのところへ走り寄ってきた。

って、おい、何だよ。その恰好。
今日の牧野は、俺が見たこともないワンピース姿。
いつもは黒いメイド服に、白のエプロン姿なのに、今日は膝丈のシャツワンピースだ。
ワンピースの襟は開襟で、首元がいつもよりすっきり見える。
ベルトでマークされたウエストが細せぇ。
ストレートの黒い髪も、肩下までしっかりブローされて綺麗に下ろしている。
お前、何でそんなに気合入ってんだよっ!


牧野が類に向かって頭を下げた。
「花沢さん。昨日はありがとうございました。本当に助かりました。」
「いや、別に。司をからかおうとしただけだから。」
「えっ?」
「類っ!」
いぶかしげな表情の牧野と焦る俺。
類、余計な事言ってんじゃねーぞ。

それから牧野が、類に紙袋を手渡した。
「これ、クッキーなんですけど、良かったらお礼に。」
類が紙袋の中から、渦巻き模様のクッキーが入った袋を持ち上げて言った。
「これって、手作り?」
「そうです。」
そう言って、類がちらっと俺を見た。
たぶん、俺の顔は引きつっていたと思う。

牧野は類にクッキーを手渡した後、ソファからもう一つの紙袋を持ってきて、
「これは道明寺の分。道明寺は、甘いの苦手だから無理かな~って思ったんだけど、作り始めたら止まらなくなっちゃったの。これはすっごい力作だから、あとで見てみて。」
そう言って、思いっきり可愛く笑った。

「そうだ、道明寺、お弁当食べた?お弁当箱持って帰ろうか?」
という牧野に、類が、
「へぇ。司、弁当作ってもらってんだ。」
と驚いている。
そりゃそうだろう。少し前の自分なら考えらんねぇ。
「まぁな。」
俺は、今日初めての優越感に浸って、類を見た。
牧野の一言に一喜一憂する俺に、類のやつは呆れているんだろうな。
けど、仕方ねぇ。
類なんかに負けたくねぇ。

「牧野、迷わず来れたのか?」
「何言ってんのよ。子供じゃないんだからねっ。でも、さすがに受付は通りにくくて、結局、西田さんに連絡して、ロビーまで迎えに来てもらっちゃった。」
へへへと笑う牧野。
会社でこいつに会えるなんて、すげぇ新鮮。
ここに類がいなければ尚よかったが。


そうしているうちに、執務室のドアが開き、西田が入ってきた。
「支社長、そろそろ16時の会議になります。」
あぁっ!?
せっかく、牧野が来てんのに、気ぃ使えよっ!

すると牧野も、
「じゃあ、あたしもそろそろ帰ります。」
と言って、バッグを持った。

そこへ類が、
「俺、ついでだから送るよ。」
あ?類?お前、今、なんつった?
「いえいえ、お構いなく。これから、お邸にも寄るので。」
「俺、今からフリーだからどこでも大丈夫。」
「えっ。でも・・・」
そう言って、ちらっと俺を見る牧野。

類め。何考えてんだよっ。
一瞬、俺の車を回させるかとも思ったが、ここは心の広い雇い主を演じる必要もあると思い直し、
「牧野、送ってもらっとけ。気を付けて帰れよ。」
「うん。分かった。道明寺も仕事、頑張ってね。忙しいのに、お邪魔してごめんね。」
そう言って、類と一緒に執務室を出て行った。



すべての業務が終わったのが、夜8時。
今日はマンションで晩飯が食える。
ふっと、紙袋を思い出し、ガサゴソと開けてみた。
中から出てきたのは、顔型のクッキーがたくさん。

これ、俺か?
すっげぇ。笑ってんのとか、怒ってんのとか、細けぇ。
あいつ、こういうの好きだよな。
ぜってぇ類のクッキーより手がかかってるなっ!
類の奴にも見せびらかせば良かったぜ。

もったいねぇけど、一つかじってみる。
「甘めぇ。」
でも、心はあったけぇ。
あいつは俺を喜ばせる天才だ。
あの時、クッキーを類にだけ渡していたら、俺は気が狂っていたかもしんねぇ。
あぁ、はやく、牧野に会いてぇな。
そう思って立ち上がり、急いでリムジンに乗り込んだ。


*****


俺は機嫌よくマンションに戻った。
テーブルにはすでに、夕食の準備が整えられていた。
「後はスープ温めるだけだから。」
そういって、テキパキ動いている牧野から、衝撃の一言。

「今日ね、あれから、花沢さんとどこに行ったと思う?」
「ん?邸に戻ったんじゃねぇの?」
「そのつもりだったんだけどね、あたしが好きなラーメン屋さんの前を通ってね。あたしが、ここ、美味しいですよって言ったら、花沢さんがラーメン食べたことないって言うの。びっくりでしょ?ラーメン食べたことないなんて。だからね、あたしがお礼もかねて、ラーメンをおごってあげることにしてね、二人でラーメン食べたの。豚骨ベースでおいしくってね。あのスープは絶対に自分では無理・・・」

何だよ、何だよ、何だよ、それ。
俺だって、ラーメンなんか食ったことねぇよ。
って、そうじゃねぇ。
俺だって、牧野と外でメシなんて食ったことねぇのに。
類の奴、ぜってぇわざとだな。
許せねぇ。


何となく、俺が不機嫌になったのを察知して、なにを勘違いしたのか、
「ごっ、ごめんね。道明寺が仕事中に、ラーメン行ってて。」
と違う方向に反省している牧野。

そんな牧野を見ながら、
「俺もラーメン行きてぇ。」
と呟いてみると、
「そーなの?じゃあ、今度連れて行ってあげる。」

やっぱり、こいつは俺を喜ばせる天才だ。
この一言で、俺の気分は浮上する。


こいつが類のことを何とも思ってねぇってことは分かってる。
しかし、こいつは無防備すぎる。
このままじゃ、オチオチ仕事もしてられねぇ。
これは早々に何とかしなきゃなんねぇな・・・。


 

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いつも応援ありがとうございます。
つくしに振り回される、かわいそうな坊ちゃん…。
そろそろ逆襲していきます(笑)。
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  1. 理想の恋人
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

ありがとうございます(*^_^*)

  1. 2016/11/01(火) 20:58:48 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手、コメント、ありがとうございます。

そうですか〜。振り回されている司も好きな方もいらっしゃる…。なるほど。
私は、自分で書いておいてなんですけど、ちょっとつくしちゃんに、イラッときましたが(^_^;)

これからの展開が、私の中で一番に頭の中に閃いた妄想なんですけどね。うまく伝えられるか…、ちょっと心配です。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/11/01(火) 08:40:27 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/11/01(火) 06:55:32 |
  2. |
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