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Happyending

Happyending

__カチャ

リビングへ続くドアが開いた。

「起きたか?」

この弾むような声は、道明寺がご機嫌な証拠。

「体、大丈夫か?」

「大丈夫な訳ないじゃん。」

口を尖らせて、だけど両手を道明寺に向かって差し出した。

・・・・恥ずかしー。

そのジェスチャーに気付いた道明寺は、わんこみたいに駆け寄ってきて、手を引いて、ゆっくりとあたしの体を抱き起してくれた。

・・・・・・・照れる。

「もう起きてたの?」って聞いたら、「嬉しすぎて寝らんなかった」なんて言うからまた幸せな気分になった。


それから、なんとかシャワーを浴びて(もちろん道明寺の介助付き)、着替えは道明寺が選んだワンピース。
ドライヤ―で髪を乾かしてもらうのがすっごく気持ちよくて、また眠りかけたんだけど、「こらっ、寝るな」って小突かれて、今度はお姫様抱っこでリビングへ。

ひゃあっ
恥ずかしいったらないけど、道明寺が喜んでるからこれでいっか。
今日は流されてみるんだもんね。


いつの間にかブランチが用意されていて、道明寺はあたしをソファーに下ろすと自分もすぐ隣にピッタリと座った。腰と腰が密着して、片手があたしの脇腹に回ってる。

くすぐったいってば!

「あれ?そう言えば、あんた仕事は?」
「休み」
「嘘でしょっ!?」

びっくりだ。
昨日時間が空いたのも珍しかったのに、今日も1日お休みだなんて。こんなの数カ月ぶりじゃない?

「で、どれ食う?」

超ご機嫌道明寺は、目の前のご飯もとってくれるらしい。
こいつって実はすっごくマメなんだ。いつもはあたしが嫌がるから我慢してるのよね、きっと。けど、本当はあれこれ世話焼きタイプ?案外夫としては最高かもよ。なーんて、そう思わない?

「卵がいいかな?」
「エッグサンド、オムレツ、どっち?」
「やっぱりハムサンドとオムレツ。」

道明寺が笑いながら、オムレツのお皿にハムサンドを乗せて渡してくれた。
いつもは使用人にかしずかれてばかりのくせに、こういうことをサッと出来ちゃうってすごいなぁ...。とても教育が良かったとは思えないんだけど..。強いて言えば、あたしの教育の成果なのかなぁ...なんて、あはは。

「何だ?」
「ううん、なんでもない。いただきまーす。」

ガブッ・・・・おいしっ!
・・・って、なんて顔してるのよ。そんな甘い顔で見ないでよ。食べられないじゃないの。
あんたも食べてって言ったら、お前の食うからいいって隣であーんと口を開ける。

今度は甘えモード。
でも、いっか。今日は流れのままにだ。
食べかけのサンドイッチを近づけると、嬉しそうに一口齧る道明寺。
至近距離で見る道明寺の睫毛はすっごく長い。
本当に綺麗な顔立ち。
最近はね、クルクル天パは短めにカットされてるんだけど、これがまたスタイリッシュでね。
その横顔にドキドキする。内緒だけど。



「メシ食ったら、色々見てもらいたいもんがある。」
「あたしに?」
「お前以外誰がいるんだよ。」

バカップルみたいにご飯を食べ終えて、流石に片付けぐらいは...とキッチンにいる間、道明寺は別な部屋からいろんな本をリビングに運んできた。

「牧野、こっち。」
「ちょっと待ってって。なーに?」

手を拭いて、リビングのテーブルを見ると、

ん?・・・・・・何これ?

ブライダルカタログ!?

それはどう見てもブライダル関係のカタログで、式場とか、ウエディングドレスとか、新婚旅行の行き先とか、そんなの。

「ちょっ...ちょっと!何っ!?」
「今朝、西田に持って来させた。」
「西田さんっ!?」
「お前と結婚するって言ったら、あいつも喜んでたぞ。」
「......そ、そう?」

本当かなぁ、びっくりしただろうなぁ。なんだか申し訳ない。
このところ忙しいのは西田さんも同じはずなのに。

「まぁ、すぐにって訳にもいかねーんだけど。」
「そりゃそうでしょ。」
「これからまた忙しくなるし、お前の意見今のうちにじっくり聞いとこうと思ってよ。」

.....そうよね。
こいつんちの事情とか考えたら、結婚なんて、準備やら何やらで1年はかかるんじゃない?
道明寺の休みだって稀だし、ゆっくり二人で結婚について考えるのも悪くないかも。

とは言っても、いきなり結婚式のカタログを見てもピンとこない。
いや、あたしだって先輩や同僚の結婚式に参列したこともあるし、ちょっとぐらい憧れっていうのもないわけじゃないんだけど。
こういうの、道明寺のほうが得意だと思う。
悔しいけどやっぱりセンスいいし、男のくせにすっごいロマンチストだもん。
それがまた似合っちゃうから、こっちが照れちゃうんだけど。


「ドレスだけは早めにオーダーしねぇと間に合わねぇからな。」
「早めにって早すぎじゃない?」
「準備は早いに越したことねぇだろ?とりあえず、どんなデザインが好みか言えよ。」
「どんなって言われてもなぁ。」

どれどれ?
道明寺が開いたページを覗き込む。
そこには、一流デザイナーがデザインした華やかなドレスたちがたくさん載っていて。

いやいや.....無理無理っ!似合う訳ないでしょっ!

「待って、道明寺。ちょっと冷静に...」
「何で?気に入らねぇ?」
「気に入る気に入らないっていうか、あたしあんまりちゃんと考えたことないっていうか、こういうことはもっとゆっくり...」

「......ダメだ。」
「へ?」
「そう言ってお前、ズルズル先延ばしにする気だろ?」

うっ...
いや、そんなことないよ?覚悟はできてる。
でも、こんな煌びやかなドレスがあたしに似合うと思うあんたはどうかしてる。

ギロッと道明寺があたしを睨んだ。
こっ...怖いよ、あんた、その睨みっ!!

やばい、やばいっ!
道明寺がご機嫌斜めになってきた。
そうだった。この男は、こうと決めたら一直線。
誰にも止められないんだった。

別にあたしだって喧嘩したい訳じゃないんだよ?

..........仕方ないなぁ。
ここはあたしが歩み寄って、軌道修正するしかない。


「んんっと...。だからね、もっとシンプルで、こう広がり過ぎないラインで.....」

機嫌を直そうとあたしの理想を言ってみると、道明寺がスケッチブックを取り出した。
長い足を組んで、鉛筆でサラサラと描き始める。
スゴッ。こいつ、絵とか書けたんだっ。

「こうか?」
「うん。それでね、この辺はレースで...」
「胸は隠せよ。」
「元々ないから隠しようがないでしょ。」

シュッシュッと道明寺が描いていくウエディングドレスは........何だろう?
なんだか、とてもあたしに似合うような気がしてくるから不思議。
やっぱりこいつ、あたしのことよく分かってるのかも。

「こんな感じ?」
「うんっ。こんな感じ。でね、ドレスの裾は後ろが長い方がいいな。」
「こう?」
「うんうんっ。」

あたしが頷くと、道明寺も嬉しそう。
良かったぁ。ご機嫌改善っ!

「凄いね、道明寺。絵とか描けるんだ。」
「衛星教育受けてるからな。」

相変わらずなボケにあたしが吹き出すと、自分が描いたドレスが気に入ったんだろうとすっかり勘違いしているこいつも笑い出した。

まぁ、いっかぁ。

「式場はどうする?」
「そうだねぇ。」

パラパラパラっと冊子を捲ると、そこには青い空、碧い海、真っ白な砂浜。
二人だけのウエディングプラン.....だって。

「すてき...」
「海?」
「うんっ」
「二人きりっていっても、女ども来るだろ。」
「T4?来る来るっ。絶対来てもらわなきゃ困る!」

あたしが当然って言うと、
道明寺が呆れたみたいな顔をする。

「仕方ねぇな。どうせ、あいつらも来ちまうだろうし。」
「あいつらって?」
「類たち....」

それこそ当たり前かも。
西門さんにしても美作さんにしても、類にしても、会う度にいつ結婚するんだ?って聞いてくるもん。
早く司を捕まえて、俺たちを解放してくれっ...だって。
ねぇ、あたし、本当に捕まえちゃったよ?
驚くかなぁ、みんな。

「あいつらも来るなら、ジェット飛ばしてうちの島でもいいな。」
「ジェットで?みんなで?」
「じゃねーと、あいつら文句バッカ言うだろ。」
「やったぁ。楽しそう!道明寺、ありがとっ!!」

道明寺が優しく髪を撫でてくれる。
結婚式が楽しみになってきたよ。わくわくっ。
今から準備して、1年後ぐらい?
まだ時間があるから、ダイエットとかした方がいいかな?
へへへっ。


「他に希望は?」
「んー。特には。」
「何だよヤル気ねぇな。新婚旅行は?どうする?」

やれやれ、なんだか、すっかり道明寺のペース。
本当にマメだよねぇ。
いつもなら、部下に「やっておけ」って指示してる立場の人なのに。
カタログなんて取り寄せちゃってさ。


・・・・・・・・・・あれ?

よく考えたら、結婚なんてあたしたちの希望だけでできる話?
こいつにとってはビジネスの要素は外せないんじゃないの?
今更ながらにそんなことに気付いて我に返った。

流されてる場合じゃなかった!!


「道明寺、あんたさ。さっきから色々考えてくれてるけど、よく考えたら、あんたのご両親が何て言うか分からないし。結婚っていったって仕事の都合もあるでしょ?あたしの希望より、むしろそっちを大事にしなきゃだめでしょ?」

「あ?なんでお前より仕事大事にしなきゃなんねーんだよ。」

「いや、だから、社会人だし、あんた一応専務って立場だし、勝手は許されないでしょ?」

「誰にも文句なんて言わせねーよ。」

あらら、また不機嫌モードだ。
NYでいい男になって帰って来たはずなのに、こういうところは昔のまんま。
だけど、あたしはこういう道明寺が好きだったりするから困っちゃう。
社会的責任もあるくせに、あたしのことが一番大切だって言ってくれる。
そんなこいつにいつもほっとするんだけど、同時に足手まといになりそうで怖いんだよ?
分かってる?

なんて言えばいいかなぁ。
まず、あの怖いお母さんから結婚の許可を貰わなきゃでしょ?
その上で、結婚式はどうするかのお伺いも立てなきゃでしょ?
先は長いけど...
あたしは逃げないからさ。
一つずつ、ステップを踏んで行こうよ、ね?


あたしが真剣に考えていると、道明寺がコツン..とあたしのおでこを突いた。
見上げれば、フフンッて笑ってる。

なんだか...得意げな?怪しい笑い。
あっ、これ、ワルイ笑いだっ。
絶対なんか、良からぬことを・・・

思わず離れようとすると、ヘビのように長い手に捕まった。
強く絡みついて、逃れられない。


「バーカ。
 お前がくだらねぇことグダグダ言い出すのなんてお見通し。
 今日は珍しく素直だと思ったけどな。」

「.....へ?」

「ババァには今朝連絡入れた。やっとなの?だとよ。」

「......うそ」

「西田なんて、毎年6月に休み作って、いつお前がプロポーズOKしてもいいように待機してんだよ。あれだ、ジューンブライド?6月の花嫁は幸せになれるんだろ?お前がなかなかOK出さねぇから、毎年西田が苦労してんだっつーの。でもまぁ、今年は報われるんじゃね?」

「ま、待ってよ。じゃあ、結婚式って....」

「今年の6月に決まってるだろ。」

「だって、すぐには無理だって...」

「まだ2カ月も先だろうがっ。俺は今日にでも式を挙げてぇぐらいなんだよっ!!」


ちょっと・・・・・信じられない。

あと2カ月で、結婚?
いくらなんでも、そんな急に無理だよ。
あたし、仕事だってあるし。


「まぁ、式は自由にさせてもらう手前、そのうちNYでお披露目はしなきゃなんねーだろうけど。そういや、ババァが昨日の騒ぎの責任とって、一度メープルで危機管理の勉強しろだとよ。もうお前の会社には連絡したらしい。ったく、俺の秘書にするつってんのに、ババァのやつ、やることはえーな。」


・・・・唖然。
驚きの展開すぎて言葉も出ない。

や......やること早いじゃ・・・ないでしょ?
だめだ、頭が回らない。


「......あたし...来週からどうすればいいの?」

「メープルに出向じゃね?」


文房具メーカー勤務のあたしが、どうしてメープルに出向?
ダメだ、あたし、頭がおかしくなったかも...。



隣には、ニコニコ笑顔の道明寺。

・・・・そうだった。
あたしが捕まえたこの男は、こういう男だったんだ。
ううん、捕まえたんじゃなくて、捕まった?

たまにはこいつに流されてみよう...なんて思ってたけど、
もしかして、誘導されてただけ?

そんな・・・バカな。



「どうする?ババァに文句言ってやろうか?」
「そんな事言える訳ないじゃん.....。」

涙目になったあたしを、道明寺がポンポンとあやす。
睨んでみたけど、どこ吹く風で、甘い視線をあたしに向ける。

ズルいんだから。
許すしかないじゃん。


口をへの字に曲げたまま笑ったあたしを見て、道明寺も笑った。

「今回だけは、女子会に感謝だな」




もぉ・・・・・

優しい道明寺の顔が近づいてきた。

あたしは、ゆっくりと目を閉じて、熱い唇を受け止めた。




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Comments 6

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Happyending  
Re: タイトルなし

花●様
追加のコメントありがとうございますww
あはっ、やっぱり花●様は司サイドですよね?(笑)
少々お待ちあれ~。
その前に...うふふっ、一つお楽しみがゴザイマス。
今頑張ってます('◇')ゞ
でも、まだ内緒(*´艸`*)

2020/05/02 (Sat) 11:26 | EDIT | REPLY |   
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2020/05/02 (Sat) 00:50 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
ありがとうございます。

その後に・・にもたくさんの拍手やコメントをありがとうございます。
2.3はつくし目線でした。素直になってみたつくしちゃんですが、すっかり司に捕らわれた模様...(笑)。
ひとまずここまで書けたのでほっとしています。


緊急事態宣言は延長の方向みたいですね。
私の住む地域は学校の5月いっぱいの休校延長が早々に決まりました。
どうなることやら...。

そして、私事なのですが。
新型ウイルスの影響で、1週間前からお仕事が半減しました。残している仕事もあるのですが、感染拡大のリスクから上が決めたことなので。いつまでのことか全く先は分かりませんが...。でも、おかげ様で、余裕をもって子供たちと向き合えています。そんなわけで、お話も書く余裕が出てきたり(*^^*) 

それからですね...。
モチベーションがあがることがもう1つあったんですが、これはまだ内緒!
もう少しで皆さんにも分かると思います(*^^*)
お楽しみに~!!


そうそう、夜寝ぼけていて、Fin.打ち忘れたのですが、女子会はここら辺で終わろうかな...と思ってました。
おまけで桜子たちのその後ぐらいかな?
いや、その後の司サイドいるかな?
...と呟いてみる( ´艸`)
どうしようかな~?


いつも応援ありがとうございます。
日常が戻るのはまだまだ先...だとしても、一人一人の命が大切。
stay home頑張りましょうね(*^^*)

2020/05/01 (Fri) 19:13 | EDIT | REPLY |   
なん  

すごーく楽しませていただいてます!
私の生活の癒し‥❤︎
これからもよろしくお願いします!

2020/05/01 (Fri) 14:41 | EDIT | REPLY |   
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2020/05/01 (Fri) 09:41 | EDIT | REPLY |   
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2020/05/01 (Fri) 09:01 | EDIT | REPLY |   

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