花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

秘書生活は予想していたよりも充実していた。
任された仕事の責任の重いものだったけれど、あたしは米国プラントとの提携業務の他には大きな仕事を任されてはいなかったから、それだけに集中していれば良かった。
 
でも、道明寺は違う。
沢山のプロジェクトを把握していて、それに瞬時に回答をする。
マンションでみる道明寺の姿とは全く違う、ビジネスマンの道明寺。
「経済界のプリンス」と呼ばれる男。
彼の仕事ぶりで日本経済ばかりではなく、世界経済も変動すると言われる。
 
あたしは、分かっていたようで、全然分かっていなかったんだと思う。
この人は、本当にすごい人なんだって。
上司としての素質も十分。
もちろん、あたしの質問に答えられないなんてことはない。
彼が、どれほどのビジネスセンスをもつ人かなんて、素人のあたしでもわかるくらい、才能に溢れた人。
 
お金持ちで、地位も名誉も、美貌さえも持っている男。
そんな人に憧れない女性はいないと思う。
道明寺の話題が掲載されていれば、経済誌でさえ、女性たちが買いあさるほど人気がある人。

あたしは、その人の「恋人役」。
初めは道明寺がからかっているだけだと思ったりしていたけど、そうじゃない。
あたしがいることで、業務もスムーズになったと西田さんが言っていた。
それはたぶん、あたしが道明寺に群がる女性の牽制に一役買っているという意味なんだと思う。
それなら、あたしは仕事として、その業務を全うする。
そう思ったら、なんだか肩の力が抜けて、道明寺の恋人役だって、本気でやってやろうと思えるようになった。
 
 
 

今日は夜の会食に同行してほしいと西田さんに言われた。
相手先は、高田産業。
コンクリートなどの土木系の業種だ。
道明寺ホールディングスの提携先は幅広くあり、様々な業種との付き合いがあることは、この数週間で把握していた。
 
「土木関係には、全く明るくありませんけど、あたしがお役に立てるかどうか・・。」
「いえ、牧野さんは同行して頂くだけで大丈夫です。」
 
あたしは、会食に同行するのは、初めて。
大丈夫かな?
 
17時半に道明寺とリムジンに乗り込んだ。
会食は18時からだとのこと。
緊張するあたしに向かって、道明寺が、
「緊張しなくていい。いつもの牧野でいいから。」
そう言ってくれる。
 
道明寺の一言は、いつもあたしに自信をくれる。
道明寺が「大丈夫」と言ってくれたら、絶対に大丈夫だと思える。
この人の力はすごい。
 
 
会食は、日本庭園のあるような料亭で、当然個室。
お部屋に案内される時、自然と道明寺があたしをエスコートした。
最近では当たり前のその仕草なんだけれど、道明寺のすごさを認識するにつれて、だんだんとあたしの方が、変に意識するようになった気がする。
だって、よく考えたら、「結婚したい男No.1」の男なんだよ。
そんな人にエスコートされて、ドキドキしない女性っているのかな・・。
って、あたしは仕事なんだから、しっかりしなくっちゃ!


お相手は高田産業の社長さんで、年は恐らく50過ぎ。
すでに席についていて、あたし達が現れると立ち上がった。
あたしを見て、かなり驚いている。
挨拶を交わした後に、あたしと西田さん、相手方の秘書さんは、隣室の個室へ移動した。
 
あたしはてっきり、あたしも一緒に食事をするものだと思っていたから、ちょっと拍子抜けだったけど、これならこれでいい。
おそらく隣では、提携についての話なんかがされているんだと思う。
何となく話が聞こえるけど、あたしは特に聞くこともなく、お料理をポツポツと食べていた。
たぶん、西田さんと相手方の秘書さんは、お隣の話に耳をそばだてているんだろうな。


おいしいお料理なんだけど、なんとなく味気ない。
いつもこういう高級なお料理を食べる時は道明寺と一緒だったんだ、と気付く。
自然にエスコートしてくれて、あたしがおいしい、おいしいって言うのをちょっと呆れながら聞いてくれる。
お料理を食べながら、あたしのおしゃべりを聞いて、笑ってくれる。
自分は食べないくせに、食後のデザートは気になるものを全部頼めなんて言って、いつも喧嘩になる。それで、最後は二つに絞って一つずつ注文して、半分こずつにする。っていっても、ほとんどあたしが食べているんだけど、それでも嬉しそうにしてくれる。
「ごちそうさま」って言うと、あたしの頭をポンポンって叩いて、「お疲れさん」って返してくれるんだ。

あたしはお料理を作ることが好きだけど、最近は、道明寺と食事をすることが楽しみだった。
どんなにおいしいお料理でも、道明寺がいなくちゃおいしく感じないよ。
そんなことを思いながら、時間が過ぎるのを待っていた。
 

そして、この時はまだ、あたしは自分が何のためにここに来たのか分かっていなかったんだけど、その後すぐに気付くことになった。
 
 
 
会食が始まって1時間が経過したころ、隣のお部屋のふすまが開く音がした。
誰か来た?
隣に女性の声が加わった。
西田さんから、少しだけ溜息が漏れた。
 
あたしの耳も、思わず、隣室へ集中。
「来月、我が社の創立50周年記念パーティーがあります。その際に、道明寺さんに、ぜひ、由香里のパートナーをしていただけたらと思いまして。」
「高田ゆかりです。」
高い女性の声は聞き取りやすい。
「道明寺さんに是非一度お会いして、パートナーをお願いしたくて、今日は無理を言って、同席させていただきました。」
 あたしですら分かる、媚びを売るような声。

「全く聞いておりませんでしたので、驚きました。」
丁寧ではあるけれど、低い道明寺の声に緊張が走る。
おっ、怒ってる?
隣の西田さんを見ると、あたしを見て頷いている。
 
ええ~?
どうすればいいの?
あたし、このために来たんだよね。
道明寺を助けてあげるんだよね。
でも、どうしようもないじゃない!
 
西田さんが、相手の秘書の方に、
「もう、お開きにいたしましょう。」
と伝えると、先方は、
「もうしばらく、待ちください。」
と返してきた。
 
 
ここで、あたしはどうしたらいい?
あたしは道明寺のために、何をしたらいいんだろう。
 
少しだけ考えて、
あたしは、思い切って、立ち上がった。
 

 

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  1. 理想の恋人
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

こんばんは~(^^)

  1. 2016/11/14(月) 23:57:45 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手ありがとうございます!
拍手コメントも含め、コメントもありがとうございます!

だんだん甘いお話しになってきたかな~。
どうかな~。
つくしの余裕がだんだんなくなっていく様子をじっくり書きたいですが・・。
うまく書けるかな。

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  1. 2016/11/14(月) 06:03:49 |
  2. |
  3. [ edit ]
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