花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

俺たちの付き合いは、道明寺側からは否定も肯定もしていない。
相手の女がどこの誰かということも、情報は漏らしていない。
けれど、俺は隠すことなく、「マキ」を連れ歩いているし、マキと一緒にマンションに帰る様子もスクープされているから、世間では公認の仲になっている。
 



あの夜・・・
俺たちは、手をつないで街を歩いてた。
ふと隣の牧野を見ると、あいつも俺のことを見上げていて、視線が合った。
あいつが探るような瞳で俺を見つめている。
その視線が、俺の口元に降りた。
と思った次の瞬間には、あいつは真っ赤になって視線をそらした。

それからはアタフタし始めて、
「あんたって、手が熱いよね。」
とか、
「そういえば、デザート食べ損ねた。」
とか、ペラペラとしゃべりだした。

「お前、変じゃね?」
「へっ、変?」
「キョドり過ぎ。」
「あぅっ。ちがっ。」
「なんか隠してんだろ?」
俺は、牧野の頬を両手で包んだ。

「ちょっ、やめてっ。」
ますますキョドる牧野。
その様子が可愛すぎて、さらに虐めたくなる。
顔を近づけて、瞳を覗き込んだ。

「ホントにダメだって。ドキドキするっ。」
そう言いながら、究極の上目遣い。

おいおい、それって、誘ってんじゃねぇの?
いや、こいつに限ってそれはねぇ・・とは思う。
けど・・・
俺のことを意識しているのは間違いねぇ。

キスしてぇ。
キスしてぇ。
けど・・・。
ここで焦りは禁物・・だ・・・。

俺はありったけの理性をかき集めて、
ゆっくり首を傾け、牧野の頬に唇を寄せた。

『チュッ』というリップ音。
驚いた表情の牧野。
茫然としていて、何の反応もない。
そんなこいつに言ってやった。
「お礼だ。」

それで我に返ったこいつが、
「んなもん、いるかっ!」
と俺の足を蹴った。





「支社長、顔をお引き締め下さい。」
気が付くと、目の前には西田。

やべぇ。
たかが、ホッペにチューでこの有り様だ。

「牧野さんとは、何か進展はあったのですか?」
うっ、痛てぇところを突いてくる。


あれからも、牧野は相変わらず、バリバリと仕事をこなしている。
実を言うと、メープルから度々ヘルプの依頼があるらしいが、それはタマが適当に断りを入れている。
秘書としての牧野は、仕事が完璧でそつがない。
俺のことを上司として尊敬しているらしく、仕事中は完璧に「マキ」を演じきっている。
演じてるっているうよりは、見た目が「マキ」ってだけで、中身は仕事に真面目な牧野なんだけどな。
 
けれど、最近、こいつの視線をよく感じる。
目が合うことも多くなった気がする。
そんな時、こいつは決まって、不自然に目を逸らしやがる。
あいつは俺のことを確実に意識している。
俺のカンは間違いねぇ。


俺は、そろそろ、限界だ。
「マキ」もいいけど、やっぱり「牧野」を連れ回したい。
そんな俺の気持ちに、お前は気付いているのか?


 
*****
 
 

あれから、あたしはなんだかおかしい。
道明寺を見るとドキドキする。
 
朝、いつも通りにあいつを起こしに部屋に入ると、いつも通りに上半身裸で寝ているあいつ。
今までなら、そんなこと気にも留めていなかったのに、最近は意識しすぎて、あいつを叩き起こすことをためらっちゃう自分がいる。
 
仕事中も、ちらっと道明寺を見ちゃったり。
集中しているあいつって、カッコいいんだよね。
見惚れちゃったりして・・。
たまに目が会っちゃったりすると、すっごく気まずい。
何気ないふりをして、視線をそらす。
 

あたしは、道明寺のことが、気になって、気になって仕方がないんだ。
もう、いくらニブイあたしだって気づいてる。
あたしは・・・きっと、道明寺のことが好きなんだ。

でも、もう一人のあたしが冷静になる。
そういう気持ちは持っちゃダメだって。
だって、あいつはあたしの雇い主で、上司だもん。
あたし達は、ホンモノの恋人同士にはなりえない。
だから、この気持ちは気付かれちゃダメなんだ。


 
 

今日は、新作ジュエリーの発表会に顔を出すと言われた。
用意されたジュエリーはダイヤがふんだんに使われた、デザインネックレス。
おそろいのイヤリングと、ブレスレットもある。
それから、ブルーのシルクのロングドレスを身に着けた。
 
「つくし」なら、全くもって似合わないそんな高級品も、なぜか「マキ」には似合ってしまう。

 
会場に入ったあたし達に、みんなの視線が絡みつく。
でも、隣に道明寺がいるから落ち着いていられる。
不安な時は、ぎゅっと道明寺の腕をつかむと、道明寺がこっちをみて「心配ない」っていう視線を送ってくれる。
 
道明寺と一緒に、シャンパングラスを片手に新作ジュエリーの説明を受ける。
恐らく、億単位はするような高級なジュエリーの輝き。
これは本物の輝き。
 
でも、あたしは・・。
本物のジュエリーを身に着けた、偽物の恋人。
隣の道明寺をそっと見上げる。
道明寺は、本物のサラブレッド。
道明寺財閥の御曹司。
 
あたし達は、違いすぎる・・。

道明寺が緩くアップしたあたしの髪の毛を触って、それから耳につけたイヤリングを揺らしながら、
「似合ってんな。」
なんて、優しく笑う。
たぶん、この笑顔は本物。
道明寺に似合う「マキ」に送られる、道明寺の甘い視線。
 
本来、きっと、道明寺は恋人に、こういう甘い態度をとる人なんだ。
そうなんだ、きっと。
これは仕事だって割り切っていたはずなのに、この笑顔が自分のものじゃないことが悲しい。

 
道明寺につり合う女性ってどんな人?
マキみたいに、高価な洋服を着て、綺麗な宝石を身に着けて、道明寺に甘えて、素直にエスコートされるような女性かな。
本物のあたしとは、全然違う。
あたしだけど、あたしじゃない、「マキ」に向けられる視線に嫉妬してしまう。
あたし、何やってるんだろう・・。
 
 

ふっと見た一番端っこのショーケースの中に、お花の形が連なった、かわいいリングが見えた。
この会場内にある豪華なジュエリーとはだいぶ違うし、きっと道明寺の好みでもないんだろうけど、あたしはこういうのが好き。
 
仕方がないよね。
あたしはあたしなんだから。
 
あたしは誰にも気づかれないように、溜息を洩らした。


 

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いつも応援ありがとうございます!
つくしは、やっぱり鈍かった・・・。
いつの間にやら切ない系・・・。
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  1. 理想の恋人
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

こんばんは(^^)

  1. 2016/11/16(水) 21:31:35 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手ありがとうございます。

いつもコメントや拍手コメントを楽しく読んでいます。
中には、するどいっ!という感想が書かれているものもあったり・・。
はたまた、楽しいコメントを頂いたりと、とても励みになっております。
普段、普段は読み専という方からも、エールを頂いたりもします。

コメントを書くのって、結構勇気が要りますよね。
私も、ほとんどしませんし。読み逃げしてますし。
それに、気の利いたコメントが書けないし。

でも、もし、気になったこととか、これは!ということがあれば、ぜひコメントくださいね。


お話の方はですね。
ちょっと切ない感じ、っていうか、つくし一人でから回ってます。
もうちょっとだけつくしをいじめちゃってから、Happyに持っていく予定でおります(笑)。

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  1. 2016/11/16(水) 05:07:09 |
  2. |
  3. [ edit ]
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