花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

もやもやした気持ちを抱えたまま、あたしは秘書業務に専念していた。
もう、道明寺への気持ちは否定することはできない。
でも、否定しなくてもいいと思った。
あたしが黙ってさえいればいい。
今のままでも、あたしは十分幸せだと思うから。



今日は、道明寺と一緒に、パーティーに出席することになった。
なんでも、今回のプロジェクトに途中参加が決まった会社のご令嬢の誕生日パーティーだとか。
すごいよね。自宅のお庭で、300人規模のパーティーってどうなのよ?
 

あたしは道明寺と腕を組んで、会場内を歩いていた。
道明寺はあたしのことを聞かれれば、いつも「自分の秘書」と説明していて、それ以上は絶対にあたしについての情報は与えない。

今日はガーデンパーティーだから、いつもよりかなりラフな雰囲気だった。 
花沢さんや、美作さん、西門さんも来ていたから、道明寺が仕事の話をしている間に、あたしは3人と食事を楽しむことになった。

「つくしちゃん、仕事はどう?」
と西門さんに聞かれた。
「司さんに迷惑をかけないように頑張ってます。」
とおどけて答えた。
「司はさ、つくしちゃんが来てから、めちゃくちゃ仕事張り切ってるって、西田が言ってたぜ。」
「道明寺は本当にすごいです。尊敬してます。」

「ふーん、尊敬ね。それだけ?」
と花沢さん。
「それだけって?」
「司のこと、尊敬してるだけ?」

なんで・・そんなこと聞くの?
もしかして、わざと・・聞いてる?
あたしの気持ち、ばれちゃってるの?


あたしが返事に悩んでいると、『ワァッ』と会場内がざわめきだした。
そちらへ視線を向けると、ショートカットの女性が道明寺と腕を組んでいた。
道明寺は離そうとしているみたいだけど、女性の方は楽しそうに道明寺を見上げている。
 
後ろから、
「やっぱり、滋さんと道明寺さんがお似合いね。」
という声が聞こえた。

 
ギュッと胸がつかまれるような痛み。
息が・・・止まりそう。


「牧野?大丈夫?」
という声に、我に返って振り仰ぐと、花沢さんが心配そうにあたしを見ている。
 
「あっ、すみません。ちょっと、ぼーっとしちゃいました。あたし、お手洗いに行ってきますね。」
あたしは、なんだか居た堪れなくて、その場を速足で立ち去った。
 
 
 
 
本当はお手洗いになんて行きたかったわけじゃない。
道明寺とあの女の人が一緒にいるのを見たくなかっただけ。
 
分かってる。
あたしはどこまでも「ニセモノ」で「ホンモノ」には成り得ないってこと。

いつの間にか、ポロポロと涙がこぼれてきた。
なんで・・。
あたし、なんで泣いてるの?
初めから分かっていたことじゃない・・。
 
しっかりしなきゃ。
ちゃんと、仕事をしなきゃ。
それが、あたしが道明寺と一緒にいる意味なんだから。
 
 
そう思って、涙をぬぐって、パーティー会場にもどろうとした時、
「ちょっとあなた。」
と声がかかった。
 

見たこともない女性が3人並んでいる。
「ねぇ、あなた一体何者なの?道明寺さんとはどういう関係?」
「社交界でもお見かけしたことがないわよね。」
「先ほど見たでしょう?滋さんと道明寺さんは本当にお似合い。家柄も釣り合っているし、元々大学生の時には、婚約者同士だったそうよ。あなたみたいな、どこの馬の骨ともわからない女性なんて、道明寺さんには釣り合わないわよ。いい加減に、目を覚まされた方がよくってよ。」
 
ご丁寧にそんなことまで教えてくれなくたって、そんなことは自分が一番よく分かってる。
だからって、どうしたらいいのよ。
 
無言で立ち去ろうとすると、
「ちょっとまちなさいよ!」
と腕をつかまれた。
 
でもすぐに「あっ」と短い声があがり、腕が放された。
彼女たちの視線の先には・・・道明寺。

 
「どうかしたか?」
とあたしの髪の毛を撫でながら、彼女たちを睨みつける。
あたしは道明寺の手をとって、
「どうもしてないよ。行こう。」
と、振り返らずにその場を離れた。
 
 
道明寺があたしの手をしっかり繋ぎ直して、奥の庭へ進んでいく。
あたしは黙って付いて行った。

しばらくして、道明寺が足を止めて振り返った。
「お前、無理すんなよ。何かあったらすぐに俺に言え。」
「うん。」
 
そう返事をしたあたしを、道明寺が壊れものでも扱うように優しく抱きしめてくれた。
 
「ちょっと疲れたから、しばらくこのままな。」
と言う道明寺。

あたしも、道明寺の背中に腕を回した。
このままでいたいのはあたしの方だよ。
道明寺の腕の中は温かくて、心地いい。
 
たとえ「ニセモノ」だったとしても、それでもこの腕を離したくないと思った。



*****



「ねぇ、司の彼女、紹介してよ!」
「しねぇよ。」
「なんでよ、元婚約者でしょ?」
「俺は承知した覚えはねぇ。」
「ケチッ」

俺は滋の腕を振りほどいた。
「お前、司って呼ぶなよ。名前で呼ばせてぇの、彼女だけなんだ。」
「呆れた・・。女嫌いの道明寺司の豹変っぷり。」
「何とでも言え。」


滋と別れて、あいつを探すがいねぇ。
「あいつ、どこいった?」
と類に聞くと、
「あぁ、トイレだって。」
「そっか。」
と言いながらも、あいつの姿を探してしまう。

「でも、戻って来ないかもね。」
「あ?」
「司、うかつ過ぎ。」
「?」
「大河原見て、真っ青になってたよ。」

ちっ!
見てたのかよ!
俺は、あいつを探して走り出した。



会場から外れた中庭で、妙な女どもに絡まれている牧野をみて、俺の怒りのボルテージが上がった。
そんな俺に比べて、冷静な対応の牧野。

これは本気でヤバい、と俺の本能が叫ぶ。
俺がそっと牧野を抱きしめると、あいつは逃げることはなかった。
それどころか、俺の背中に手を回して、俺に体を預けた。


そろそろ・・・潮時だ。


「牧野。」
「ん。」
「お前に大事な話がある。」
「う・・ん。」
牧野が息を飲むのが分かった。


「明日から、一泊で九州に出張する。土曜日は早めに帰るから、話をしよう。」
牧野は俺の胸から顔を離して、俺をじっと見上げた。
その瞳が、涙で潤んでいる。
それを隠すように、もう一度俺の胸に顔を埋めて、コクリと頷いた。



 

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うっ、動きだしましたよっ!
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  1. 理想の恋人
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんにちは(^^♪

  1. 2016/11/17(木) 17:31:13 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
今日は仕事が終わり、早めにコメントできています!イエーイ!
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。
コメントもありがとうございます。
拝読しながら、あぁ、そういう展開もあったか・・と思ったり。
でも、そろそろ、もう切ないのはいいかってなことで、暗い展開にはなりません。えへ。

実は昨日の夜は大変だったんです。
本当は、今日のお話しは、前半部分で終わり、さらにつくしに追い打ちをかけるつもりだったんですよ。
なので、もうすこし切ない展開で続ける予定があったし、書いちゃってたんですけどね。
でも・・、そこまで切ないつくしちゃんを、放置してる司君って、私的にはやっぱりナシで。
いったんや予約投稿をして寝たものの、やっぱり、夜中の2時半に目が覚めて、そこから、後半部分を付け足して、用意していたさらなる切ない部分を省略する形へ。
だから、明日の記事は、すこしずつHappyな兆しが見えるはず・・です。
いや~ネタバレしすぎたかな。はは。
睡眠不足なので、テンション高めですみません・・。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/11/17(木) 09:31:43 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

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  1. 2016/11/17(木) 08:34:53 |
  2. |
  3. [ edit ]
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