With a Happy Ending

Eternal 6

2
私は、大手広告代理店に勤めている。社会人1年目。大学3年の時から、インターン制度でお世話になって、そのまま就職をした。現在は、雑誌に織り込む広告業務が私の仕事だ。まだ暑い夏だけど、すでにこの秋冬の広告を作っている現状で、なんとも季節感のない仕事。毎日仕事に追われている。朝から晩まで仕事。一人で住んでいるワンルームマンションに帰宅して、食事も適当に済ませてしまう、そんな生活。社会人1年目の暑い夏。5年ぶ...

Eternal 7

6
牧野が広報部に出社したと連絡を受けた俺は、直ぐに彼女を呼び出した。この専務室に一年目の社員を呼びつけるという時点であり得ないことだ。だが、そんなことはどうでもいい。牧野に会うために、彼女を異動させたんだからな。控えめなノックの後、牧野がゆっくりと姿を見せた。その小動物のような動きに笑いたくなる。いつでも逃げ出そうというその態度。だが、逃さねぇ。「道明寺・・専務。あの・・何か?」「牧野、まぁ、座れ。...

Eternal 8

6
私が道明寺ホールディングスに移籍して1か月以上が過ぎた。初めて出社した日から、私と道明寺との関係は続いている。勝手に調べたらしい私の携帯番号に連絡が入り、メープルで落ち合う。私にSPを付けるというのは冗談じゃなかった。一応は配慮したのか、小さめの、だけど誰が見ても高級だとわかる車が迎えに来て、ホテルの地下駐車場からはスイート階直通のエレベーターに乗せられる。誰にも見られていない・・言わば、秘密の関係...

Eternal 9

4
俺は、やはり狂っているのかも知れない。近くにいれば、もっと近くにいきたくなる。いつもあいつの声が聞きたくて堪らなくなる。手が触れる距離にいないと不安で仕方なくなる。そして、あいつを追い詰めているつもりが、追い詰められているのは自分の方だと気付かされる。「この後、9時から3社ほど面談がございます。その後は、書類に目を通して頂き、12時よりメープルで松田社長との会食。一度帰社して頂いた後、17時より役員級会...

Eternal 10

9
牧野は左耳に障害がある。牧野がよく触っている左耳。あれは、聞こえが悪いから?あいつは左耳が感じやすいと思っていた。それは、聞こえないから・・だからなのか?俺は・・何てっ!思いがけず知ったその事実によろめきそうになるのを必死に耐え、執務室に戻った。ソファーにドカッと沈み込み、頭を抱える。再会してから、もう2か月近くになる。今まで何度も抱き合って、あいつに俺の気持ちを伝えてきたと思っていた。あの左耳に...